一路一会鉄道の旅・鉄路一会>青春18キップで廻る・九州鉄道の旅(1)
   青春18キップパスで廻る 
  九州ぐるり鉄道の旅
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日田は何度か来ているが、商家の町並みで知られる豆田町ばかりで、隈町の方は今だ未訪問だった。その為今回は是非とも悲願の隈町を歩いて見たかった。(九州にそう簡単にこれないので)
日田駅は隈町寄りに造られた為に、豆田町へはかなりの距離があるが、隅町は徒歩でいける場所にあるのが幸だ。
さてさて隈町は温泉旅館街の町で、こちらにも古い町並みが残されていた。
日田市は豆田町隈町が合併してこの地域で最大の中核都市となったが、2つの町はあまりに性格が違い合併までは容易ではなかった。江戸幕府の直轄機関が置かれた豆田町は「役所の町」として発展し、特権によって財を築いた商人により「金融の町」へと発展していく。一方で隈町は隈川にいくつもの支流が合流する水運・物流の要衝として発展し「商人の町」と呼ばれていた。

日田から大分方面へは、「幸い」にして普通列車の接続が悪いために、こちらも兼ねてからの悲願であったリゾート特急「ゆふいんの森」に乗ることになった。いや、乗らなくてはならなかったのだ。

「ゆふいんの森1号」(7001D)全席指定席で、日田駅の「みどりの窓口」で発券されたのは偶然にも1号車のD席(窓側)だった。またこのD席は由布院方向の右側の席である。地図で見ると川や谷の多くが列車の右側にあるからこれもラッキーだったろう。

ホームで期待を膨らませ待ち続けること、やってきたのはなんと、新型のキハ72系であった。
「ゆふいんの森」号には初代キハ71系と新造されたキハ72系がある。1文字違いだがキハ71系はJR九州が実験的に旧国鉄時代のキハ58・65系急行型気動車の機器を流用して造り上げた列車で、デビュー当時はかなりの衝撃をあたえた。ヨーロッパ風の高級感溢れるデザインに旧車両の面影は一切なく、予想以上の人気により後継の72系の新造につながったのだ。外観だけでなく。木をふんだんに使った高級感あふれる内装で人々を驚かせた初代のイメージを踏襲して、より華麗でクールなイメージとなったキハ72系。出だしから運が付いている。

写真を見てもらえれば分かるが、キハ71系・72系は相当なハイデッカー車だ。床下が何に活用されているかは不明だが、おかげでレールノイズは無く、静かで軽快に走っていく。最新の振り子式でS字カーブの連続を高速で駆け抜けるため、座っている分には快適だが、いざ走行中に通路に立つと、これはかなり大変。
車内にはビュッフェがある。せっかくなので、特性ハム・ベーコン・ソーセージに由布院の地ビールと思ったが、由布院ビールは折り返し列車にで積まれるらしく、ふつうの国産ビールしかない。
まあ、まだ昼にもなっていないので、わざわざ市販品で酔う必要もなく、車内での飲食をやめた。


 
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この久大本線は「本線」と命名されているものの、単線で電化もされておらず実態は立派な地方交通線である。
名前の通り久留米ー大分間141.5kmで駅数は36ある。「ゆふ高原線」の愛称を持つが、大半が平野部と山岳部も玖珠川の峡谷に沿って走るので高原線のイメージは無い。九州を横断するので「九大本線」の誤筆も多く見られる。

もともとは大正4年に大分の私鉄である大湯鉄道が大分と温泉地である天ヶ瀬間まで建設したのが始まりで、その後国有化されて、徐々に久留米方面へ延伸されていく。一方久留米方面からは久大線として建設が始まり、昭和9年にようやく2つは一本につながった。というものの、沿線には日田市を除いて大きな町はなく、自然と温泉を求めてやってくる観光客と学生の地域輸送で存続しているようである。車窓眺めながらそんな実態を考えているうちに列車は由布院駅1番線ホームに到着した。そしてホームでは記念撮影がひっきりなしに行われる。女性アテンダントは大忙し。

3番線ホームには大分行き普通列車(4845D)が待っていたが発車まで30分近くある。今朝日田駅で見たJR九州の新型気動車キハ200系100番台だ。大型で高速走行を追求した車両であり電車並みのダイヤ編成を可能にしたとか。JR総研と共同開発した爪クラッチ式変速機を搭載しているのが特徴。この車両のファミリーには片運転台2両編成のキハ200系と1両・両運転台のキハ220系がある。
車内はシックに黒でまとめられている。車体といい、内装といいJR九州のセンスの良さ、この思いっきりぶりは一体どこから来るのか。(答えは後ほど)

キハ220系はさすが軽快に加速し、S字カーブの連続を時速70キロ以上で駆け抜けていく。南由布院駅、庄内駅で列車交換。屏風のような山塊が幾重にも連なり、九州の荒々しい地形と本州とは違った独特の「大陸感」を感じた。九州も、併走する国道210号線も初めてでは無く、それどころか過去に何度も行き来したが、多くは夜間であったこと、また運転中は周囲の車窓を楽しむ事ができなかったので、初めて訪れたのに等しい新鮮さである。

豊後国分で列車交換。ここを過ぎると大分市の近郊市街で、乗客がどっと増えてくる。やがて高架線になり、近代的な高層ビル群が見えてくると終点の大分だ。
大分駅は駅の高架工事が進行中で、日豊本線をはじめ大半はまだ昔のままだが、久大本線の8番ホームは高架が完成していた。ローカル線のディーゼル列車が乗り入れるホームにしては少し違和感がある点は、昨日の山陰本線の出雲市駅で感じたものと似ている。というよりも記憶がクロスバックした。

大分駅ではブルーメタリックの883系特急「ソニック」や白が眩しい885系の特急「ソニック」、ステンレス&シルバーの883系の特急「にちりん」などなど、JR九州の新型特急が右から左へ、左から右へひっきりなしに行き交っており、子供のような興奮を覚えた。

 
 
Page1■ 九州の初日は日田彦山線から
page2■ あこがれの特急「ゆふいんの森」
Page3■ 日豊本線でひたすら南下・宮崎へ
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