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  能地
のうじ
 巨大造船所の麓に残る古い町並み
 広島県三原市幸崎町能地

 構成:商家・町家土蔵 ■ 駐車場:なし
 
 
三原市から瀬戸内海は三原瀬戸を臨む国道185号線を走ること約10km。巨大な貨物船を建造するドックが見えてくると、そこが幸崎町能地(さいざきちょうのうじ)です。幸崎は三原市に編入される依然は佐江崎という地名だった事から「さいわいざき」では無く「さいざき」と読むのです。 能地は古くから名の知れた湊で、瀬戸内航路における初期操船手法である"地乗り"の港として、西隣に位置する忠海(竹原市)とともに重要な港として繁栄していました。旧道はJR呉線の内側を走りますが、畑岡川を渡ると線路を越えて海側へ出ます。ちょうど弧を描くような道筋に伝統的な町家建築が軒を連ねています。地形からもこのあたりが当初の海岸線だったのではないでしょうか?
家並みの中ごろには洋風建築も見られ、単なる漁村集落ではなかったであろう事が伺えます。今となっては人影もあまり見ない静かな集落ですが、国道を隔てた海側にそびえる幸陽船渠。集落を見下ろすこの巨大な造船所は大型コンテナ船や貨物船を専門に建造する造船業界屈指の規模を誇る会社で、敷地内には数十社の関連企業と延べ2,000人の従業員が就労しています。能地の集落人口をはるかに上回る巨大事業所の門前集落、それが幸崎町能地です。