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  油津
あぶらつ

 飫肥藩の重要な外港・マグロで栄えた港町

 宮崎県日南市油津

 構成:豪商屋敷・赤レンガ倉庫・西洋建築・石橋 ■ 駐車場:港湾P

油津
 
「油津」の名は古代の「吾平津・あびらつ」が語源とされ、吾平津とは神武天皇妃の名で堀川沿いにある吾平津神社が由来とされています。

日南海岸は地形の利によって天然の良港が点在し、油津の港も東側の大節鼻が海へ張り出して、天然の防波堤の役割を行っています。油津は中世以前から大陸との交易の中継港として利用され、奈良期には遣唐使の寄港地でした。江戸時代に入ると鎖国が敷かれたために貿易港としては衰退しますが、飫肥藩の重要な外港として整備され、藩の重要な財源である飫肥杉の積出港として活気を取り戻します。
飫肥杉は「弁甲材」と呼ばれ、造船材として近年まで大きな需要を生みましたが造船技術の近代化に伴い昭和20年代をピークに需要は減ります。油津は 木材の積出港の他、関西以東への海上交通の基地としても栄え、このころ港周辺に旅館が多く建てられました。しかし鉄道の開通に伴いこれも衰退していきます。

明治になると日本で最初の商業漁港の指定をうけます。「油津」の名を全国に知らしめるきっかけとなる「マグロ景気」が訪れ、「日本のマグロ相場は油津によって決まる」とさえ言われるほどになりましたが、戦争によってそれも終わりを迎えてしまいます。
油津周辺の近代建築物や豪商屋敷はこのマグロ景気のころに建てられたものです。
油津は小さな町ですが、国道220号がカギ形に町を縦貫しており、日南海岸唯一の幹線道路であるため昼夜を問わずして交通量が非常に多い。数年前に油津の存在を知らずに宮崎を訪れたときは、気が付かない間に通過していたようでしたが、バイパスの建設が望まれます
 
油津
 
油津
かつての遊郭を思わせる建物も随所に
油津
映画「男はつらいよ」寅さんのロケでも使われた石橋