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  有漢
うかん
 酒蔵と市場町の面影が残る山間の小さな町並み
 岡山県上房郡有漢町有漢字市場(上市・下市) 【岡山県高梁市有漢町有漢】

 構成:商家・旅籠建築・酒蔵・土蔵 ■ 駐車場:あり
 
 
備中高梁の北東に位置する小さな山間の町・有漢。ガイドブックで「石の風車」が紹介され、岡山自動車道・有漢ICの開通により、上房郡及び城下町高梁市への玄関口となっています。古くは松山城下(現高梁市)と落合を結ぶ落合往還や美作を結ぶ街道が町域を通り、街道沿いに形成された市場町として発達します。ちなみに「有漢・うかん」の語源は古代部民の「鵜飼部」が転じたものとか。鵜飼とは今も全国に残る、鵜を操って鮎を捕る漁師の事。今も旧地名として残る町の中心部である市場地区。
僅かながらも往時を偲ばせる伝統的な家並みが残ります。この有漢市場が大きく発展するのは幕末から明治にかけての頃になります。この時期にそれまでの封建制度の崩壊と入れ替わる形で活発化した商品経済の広まりにより農民層の分解が進み、多くの小作農と一部の大地主が生み出されました。大地主は土地の集積を行うとともに酒や醤油の醸造業、呉服商や鉱山業などの事業経営で富を蓄積して肥大化。文化や教育の発展にも力を注ぎます。
町の外れ、通称「上市」地区に建つひときわ重厚な佇まいの商家が大正7年創業の芳烈酒造です。建物自体は明治22年に建てられたといいますから、それ以前から裕福な大地主だったことが伺えます。酒造メーカーとしては虫の息の地味な蔵かと思われましたが、全国新酒鑑定会で幾度も金賞を受賞し、かつ都市部を狙ったような商品展開と、さらに酒蔵ジャズコンサートを催すなど、なかなかどうして精力的な酒蔵であることを後で知りました。
 
 
 
 
有漢町の酒蔵          
清酒 「桜芳烈」 芳烈酒造 岡山県上房郡有漢町有漢2535-1 0866-57-2003