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  井原
いはら
 備中木綿で栄えた備中・備後国境の町
 岡山県井原市井原町(中町・下町)

 構成:商家・町家・酒蔵・土蔵 ■ 駐車場:なし
 
 

旧山陽道に沿ってほぼ踏襲する国道2号線は、岡山から西の区間は沿岸部を通りますが、旧山陽道は内陸部を直線し、今の国道486号線(区間によって接続が代わりますが)がその道筋にあたります。広島県と接する井原市は、 備中備後国境の戦略的要地として幾度もの攻防が繰り広げられてきました地域でしたが、江戸時代以降は在郷町と山陽道の宿場町として発展していきます。井原鉄道井原駅周辺は区画整理と再開発が進み、往時の面影はもはやありませんが、 ここ七日市町が古代官道時代から続く歴史ある山陽道の宿場町でした。

井原に残されている古い街並みは、市役所の北側、小田川に沿った商店街に見ることができます。江戸時代初期に本町が成立し、以後中町、新町、下町と発展していった井原は綿花栽培の後背地と小田川の舟運により「備中木綿」の集散による商業の町として栄えました。今も旧町名は残されており、中町にある井原の造り酒屋
「一品」の滝本酒造周辺には、古い商家や町家がある程度まとまって点在しています。安政3年(1856)の大火で町が全焼した記録があり、建物の多くが塗籠造りになっています。建物の多くが今だ本瓦葺きである事に驚きましたが、それはこれらの建物が江戸時代の大火後に再建された事を物語り、なまこ壁で装飾された商家などからは往時の繁栄ぶりが伺えます。

しかし伝統的な建物は徐々に商店街に浸食され、保存の手が差し向けられる様子は感じられませんでした。手入れが行われている建物は、現在も商売を営む旧家ばかりで、それ以外の建物は崩壊が進むものや廃屋寸前のものなどが目立ちます。

備中松山藩(高梁市)を治めた池田家6万3000石は二代長常のときに無嗣改易となりますが、その後3000石の旗本として家名存続を認められ、この井原を知行しま
す。その旗本池田氏代官所「井原陣屋」跡が現在中町にある井原小学校です。

 
 
 
井原の酒蔵          
清酒 「一品」 滝本酒造 岡山県井原市井原町1050 0866-62-0026