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  佐治
さじ
 製糸業で栄えた丹波路沿いの商家の町並み
  兵庫県氷上郡青垣町佐治 【兵庫県丹波市青垣町佐治】2004年合併

 構成:商家・土蔵 ■ 駐車場:あり
 
 
周囲を取り囲む青い垣根のような山々からその名が付いた青垣町。旧山陰道は現在の国道9号線のルートをほぼ踏襲していましたが、古代律令時代の山陰道は亀山から西へ篠山を経由して現在の国道176号・483号線の道筋を通っていました。
周囲を山々に囲まれた青垣町の中心部・佐治は険しい峠を控えた宿場町として古い歴史を持っています。近世に山陰道のルートが変更されたあとも、播磨と但馬を結ぶ街道の要地として町は市場町として発展し、京や大坂方面からも多くの商人がこの地に移り住みました。毎月2と9の日に市が開かれ、和紙や佐治つむぎ、丹波布などが取引され、やがて街道沿いには商家や旅籠屋が軒を連ね在郷町へと発展していきます。かつては佐治川を越えた北側にも町場は続き、新町・中町・本町には最近まで大きな街道松が残されていたと言われていますが、現在その多くはすでに失われています。しかし中町通りには伝統的な商家建築が軒を連ね往時の繁栄ぶりを偲ばせています。建物は平入り・妻入りとさまざまですが、厨子二階に虫籠窓、漆喰に塗り込められた重厚な佇まいが印象的。これらの建物は明治以降に建てられたもののようです。
幕末から明治になると旧街道の役割は終焉を迎え、佐治は衰退を始めましたが、やがて製糸業全盛の時代が訪れると、養蚕業が盛んで丹後縮緬の原料を供給する地であったこの一帯は再び活気を取り戻し、一大製糸工場群が立ち並びました。
今佐治に残る町並みはこの養蚕全盛時代に生まれたもの。やがて時は流れ繁栄は過去のものとなり、 産業からも交通からも取り残された山間の小さな町に、古き時代の町並みが静かに残されていました。