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油木
ゆき
 東城街道沿いに発展した神石郡の中心地
 広島県神石郡神石高原町油木【旧・神石郡油木町】2004年合併
商家・町家・酒蔵・土蔵  なし  JR福山駅から東城行きバス
 
 
広島県中央部東端の山間部、標高500〜600mの吉備高原上に開ける小さな町・油木は、この山間地域である神石郡における行政、経済、文化の中心地で、官公庁の出先機関が集まる町でもあります。

広島県内には油木という地名が数多くあり、温泉が湧いたり、弓の原材料の木の原産地であったりと諸説がありますが、この神石郡油木の名の由来は定かではありません。

古くから陰陽連絡道である東城街道(現国道182号線)沿いに位置する要衝として重要視され、南北朝時代に矢田貝氏が油木八幡神社の門前市場町に土居城を構えたのが、町の黎明期と思われます。

油木には東城街道のほか、岡山県芳井町方面から東城に至脇往還、東城往来も合流するなど備中・備後の物産や文化が集まり、近郷地域も含めた商業経済の中心地として発展していくのです。

旧道沿いに残る油木の町並みは、丘陵斜面にゆるやかな波を描いて形成されています。きわだって古い伝統的な建物は数えるほどしか残されていませんが、新旧併せた家並みは往時の様子を色濃く残しています。

この商店街の中で最も重厚でかつ古い建物が、三輪酒造株式会社の商家と土蔵群です。享保元年(1716年)創業、三輪家は藩や幕府の要人が訪れた際の本陣を務めた旧家で、かの伊能忠敬の測量隊も宿泊したと言われています。

新しいバイパスで国道は町を迂回し、油木の中心市街は人影も少ないひっそりとした町となっています。しかし現在も神石郡における路線バスの中継地・乗換地として交通の要衝の役割は引き継がれています。
 
 
三輪酒造の母屋
 
油木の酒蔵          
清酒 「神雷」 三輪酒造 広島県神石郡神石高原町油木乙1930 0847-82-0630