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大朝
おおあさ
 安芸最北・国境をひかえた石見街道の宿場町
 広島県山県郡北広島町大朝【旧・山県郡大朝町】2005年合併
商家・町家・旅籠建築  なし  JR広島駅よりJR高速バス
 
 

大朝は広島市街から約60km、安芸最北端、島根県と接する山間盆地の小さな町。北の県境は標高800〜1000m級の山岳で隔てられ、そのほかの周囲も700m級の山々が取り囲み、そして町の中央を江の川の源流である可愛川が貫流しています。

この辺境の地にも思われる大朝は、古来より陰陽連絡道の一つ石見街道に位置し、さらに四方に脇道が走る交通の要衝として栄えた町でしたが、現在その石見街道を踏襲する国道261号線は途中の同町・新庄で北へ向きを変え、中三坂トンネルを経て島根県に抜け、国道9号線(山陰道)に合流していて、主役の座を完全に奪われたまま、時を経た状態となっています。

町域を走る鉄道は無いものの、それに変わる陰陽連絡交通として、広島と浜田を結ぶJRバスの中継地として、依然頑張ってはいますが、町に往時の活況は見られません。

最盛期には大朝市の名でも知られ、町の規模は長さ6町、家数90軒、酒屋1軒、蛭子堂もあって、毎年3月に開かれる愛宕権現の祭礼には牛馬市も開かれ、さらに芝居興行もあって相当に賑わう町だったようです。ちなみに大朝は方言で「ワサ」と発音され、古くは大麻が転訛した地名だと言われています。

中国山地で盛況を極めた和鉄のたたら製鉄全盛期の大朝では、鋳物師が多く集まり大朝鋳物の名は広く知れ渡っていましたが、和鉄の衰退と共にその姿は時代の中に消え去ってしまいました。