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宍道

しんじ

松江藩の「八雲本陣」が残る山陰道の宿場町

島根県松江市宍道町宍道 【旧・八束郡宍道町2005年編入合併】

 


出雲空港の対岸に面する宍道湖畔の小さな町、宍道町は古代より「宍道駅」(しんじのうまや)が設置された地で、山陰道と、雲南三郡(飯石・仁多・大原)及び奥出雲地方を結ぶ(大原街道・出雲備後道)が交差し、湖上交通も盛んな水陸の要衝として発展した町でした。古くは「ししじ」と読み、「出雲風土記」には”猪の通った道”の意味が記されています。



江戸時代に宿場町として大きく発展し、3軒の本陣を有していました。小豆沢家・木幡家・葉山家の3家が本陣を務め、現在はその内の一軒「木幡家本陣」が残り、「出雲本陣」として一般公開されています。「八雲本陣」は敷地1200坪、建坪800坪。江戸中期の享保18年(1733)の建築で国の重要文化財に指定されています。本陣は松江藩主が領内視察や出雲大社参拝に向かう途中に休憩する場所で、藩主専用の出入り口「御成門」が今も残ります。「八雲本陣」は以前には料理旅館として営業されていましたが、平成23年2月に惜しまれつつも廃業。維持運営は八雲本陣記念財団に引き継がれています。



宍道町は明治以降も衰える事はなく、同10年代には宍道湖航路に汽船が就航し、明治42年には山陰線(現JR山陰本線)の宍道駅が開設されます。

明治28年の家数は約300戸、旅籠14軒・問屋荷宿5軒で、その他町の1/4が交通・輸送業に従事していたといいます。


山陰道と大原街道の追分宿でもある宍道町は、鉄道に置いても山陰本線と木次線が分岐する町ですが、「JR宍道駅」は特急の停車駅でもありながら、ほとんどの時間が無人駅となっています。このことからも、現在は往時の活気は観られず、また旧道沿いには「八雲本陣」1軒を除いて、伝統的な古い建物はほとんど残されていません。しかし、鰻の寝床の町割りなど、旧道沿いには宿場町時代の面影がそのまま残されていました。



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