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口羽

くちば

旧羽須美村の中心地にして広島県側から山陰への玄関口として栄えた町

島根県邑智郡邑南町下口羽  【旧・邑智郡羽須美村2004年合併】

 


旧羽須美村は県の南部、広島県と接する石見地方邑智郡の最奥部に位置する町で、江の川の中流域に接しています。その羽須美村の中心市街が口羽地区です。昭和32年に旧口羽村と旧阿須那村が合併して羽須美村となり、国鉄三江線の駅が置かれた口羽に役所が置かれ地域の中心として発展しました。地名の 「口羽」はこの地域が出羽川の下流域に位置していたことから”出羽川流域の入口”の意味があります。


最奥の地ではりますが、国境の要衝でもあり、中世には尼子氏に対する戦略拠点、さらに大森銀山の守護などに対する基地として琵琶甲城が築かれていました。琵琶甲城は江の川と出羽川の合流点にあり、2つの川を自然の濠とした天然の要害で毛利氏の譜代家臣、口羽氏が城主を務めます。



江戸時代になると口羽でも市が定期的に開かれ、特に牛馬市は下口羽の牛馬市として知られ明治に入って最盛期を迎えます。これは付近一帯で盛んに行われた”たたら製鉄”関連の輸送に対する需要があったからです。


旧羽須美村が誕生した6年後の昭和38年に三江南線が部分開通をして広島の三次と結びつき、これにより羽須美村は島根県よりも広島県側との結びつきが深くなっていきました。広島方面から石見地域の玄関口として栄えますが、やがて訪れるモータリゼーションの波によって町は過疎の道を辿り、三江線が江津まで全通した頃にはすでにこの路線も典型的な赤字ローカル線となっていました。現在この口羽駅に停車する、いや訪れる列車は一日数往復しかありません。口羽駅から南東に伸びる旧道を歩くと、はるか昔にこの町が大きく賑わっていた時代の面影が町並みに残されていました。







商店の他に旅館建築が多く観られる下口羽地区、すぐ裏手に出羽川が流れる

酒蔵情報

清酒

「池月」

池月酒造

島根県邑智郡邑南町阿須那1-3

08558-8-0008