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亀嵩

かめだけ

雲集算盤の生産で発達した街道集落

島根県仁多郡奥出雲町大字亀嵩 【旧・仁多郡仁多町郡200年合併】

 

松本清張の小説「砂の器」でその名が知られるようになった、奥出雲の小さな町・亀嵩。また鉄道ファンの間では、駅舎に「扇屋」という蕎麦屋が入って、駅業務も行っていることで知られる「亀嵩駅」はJR木次線の小さな駅。名物の「奥出雲そば」は、前もって電話で予約すれば、木次線の列車到着に合わせてホームで受け取れ、列車の車窓を眺めながら「駅弁」ならぬ「駅そば」を楽しむ事もできます。
ちなみに、松本清張の小説を映画化した、映画「砂の器」(1974年)で登場する「亀嵩駅」は、同じ木次線の別の駅で撮影され、ホームは出雲八代駅、駅舎は八川駅でした。



亀嵩の町は亀嵩駅から国道を東へ約3.3kmほど離れた場所にあります。松江・米子と奥出雲地方や国境を越えて備後を結ぶ街道沿いに、まるで宿場町のような姿で佇む亀嵩は、戦国時代に亀嵩に城を築いた三沢氏の城下町に始まり、江戸時代にはいってからは新市に市場が開かれ発展した市場集落です。

毎年12月27日に市が立つ小さい在郷町で、松江藩の目代(代官)が置かれていました。



この亀嵩が全国に知られる地場産業に「雲州算盤」があります。 江戸時代にこの村の大工・村上吉五郎が芸州広島の塩屋小八作の算盤に魅せられ、これに改良を重ねて、量産に成功したもので、これにより亀嵩を発祥とする雲州算盤は瞬く間に全国に知れ渡ったのです。ちなみに亀嵩には算盤製作に必要は原材料があったわけではなく、当時から原材料はすべて他所から移入していて、純粋に加工製造業に特化した集落でした。そしてそれは現在も変わりません。



亀嵩川にその支流がいくつも合流する河岸段丘上の斜面に、旧道筋に沿って街村を形成する亀嵩集落。宿場町ではなく、地場産業の「雲集算盤」で生計を立てていた集落である事は、街道に沿って立ち並ぶ建物の中に、旅籠を営んでいたであろう建物の姿が見られない事からも伺い知る事ができます。 国道が集落を大きく迂回している為に旧道沿いの亀嵩の家並みはとても静かで、水路を流れる水の音だけが響いています。

酒蔵情報

清酒

「仁多米」

奥出雲酒造

島根県仁多郡奥出雲町亀嵩1380-1

0854-57-0888