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  古市場
ふるいちば
 宇田分水神社門前の発達した市場町
 奈良県宇陀郡菟田野町古市場・松井

 構成:商家・町家・豪商屋敷  ■ 駐車場:なし
 
 

城下町の面影が色濃く残る大宇陀町の東に接する菟田野町。古くは伊勢本街道と和歌山街道(伊勢南街道)を結ぶ要衝に位置し、熊野や伊勢の海産物を櫛田川・高見峠越えで奈良盆地に運ぶ中継地として賑わいました。現在も往時を偲ばせる伝統的な家並みが残る菟田野町の中心市街「古市場」は、名前が示すとおり宇太水分神社の門前に発達した市場町で成立当時は単に「市場」という地名でしたが、江戸時代初期に宇陀松山藩が成立し商業機能が城下町へ集められると、残されたこの町は古市場と改められたのだといいます。

明治に入り古市場は周辺八ヶ村と合併して宇太村となり、その中心部である古市場から松井にかけての街道筋には依然として商工業が発展。宇陀郡・吉野郡の木材が集散する在郷町として大きく発展していきました。
松山城下から和歌山街道へ至る現国道166号線の旧道は岩崎・古市場から松井にかけて約2kmほど連なり、特に古市場から松井にかけては大宇陀に匹敵する伝統的な商家建築が数多く残されています。街並みの密度や注目度は大宇陀に譲るものの、大宇陀にすら見られないような重厚で大規模な商家建築や、修復された土蔵造りの商家建築が数多く残されています。
古市場の今の町並みは、おそらく明治期以降に商工業で発展した時代のものと思われます。いくつか修築された建物も目にしますが、廃屋や空き地も目立ちます。この山間の小さな町に残る大きな町並みは現にあまり意識はされている様には感じられませんが、これらの町並みをなんとか後生に残していくとともに、町の活性化にも寄与する事がでないものか、町の姿にそんな事と考えてしまいます。


 
 
古市場に続く松井地区の街並み