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丹波佐伯
たんば さえき
 篠山街道沿いに残る重厚な屋敷の街並み
 京都府亀岡市ひた野町佐伯

 構成:町家・土蔵・農村屋敷 ■ 駐車場:なし
 
 
亀岡市街の西方に稗田野町という地区があります。古くはこの一帯を丹波佐伯といいました。
亀山市から兵庫県篠山市に通じる国道372号線と平行する旧篠山街道沿いの集落の一画に、元禄年間創業の大石酒造があります。およそ300年の歴史をもつ老舗蔵で、今も伝統的な生配仕込み、寒仕込の酒造りを行っているだけでなく、各地に直営店や居酒屋などアンテナショップを運営している勢力的な酒蔵です。この稗田野町にも資料館と食事処を併設した「酒の館」を運営。酒蔵見学も行っています。

この酒蔵の裏手にある神社を「稗田野神社」といい、大和朝廷の時代、和銅2年(709)の創建で延喜式にも列せられている格式のある古社であり、藩政時代は亀山藩主が勅使代理として祭事に列席していました。

丹波とは(黄金色の稲穂の波)の意味の如く、古来よりの穀倉地帯で、この佐伯も亀山藩の中で高い生産量を誇る米どころの一つでした。
現在の国道9号線に重なる山陰道は古代より亀山から福知山へ至る道筋でしたが、平安時代においては丹波篠山を経由するルートに変更されます。後に再び元の道筋に戻されるまでは、篠山街道が山陰道と重なっていました。

余部交差点で国道9号線(山陰道)と分岐する旧篠山街道筋には、塗籠造りに虫籠窓といった伝統的な造りの村屋敷が連なります。この家並みは京都縦貫道高架付近の吉川町穴川地区から稗田野神社と大石酒造付近かけておよそ1.5km続きます。
篠山街道の資料にも「吉川町佐伯」の名があるので、おそらく半農半商の街道集落だったのではないかと思います。
あまり資料が無いので亀岡市もあまり関与してはいないと思いますが、それでこれほどの重厚な家並みを残しているのは、まさに住民意識と努力によるもです。

最後に、この家並みが続く旧篠山街道は、車1台が通れるだけの細い道で両脇には水路が流れているのですが・・・この離合困難な道が一通では無く、さらに国道9号への抜け道としてかなり通行量が多いのです。
それは国道372号線自体は走り安い道なのですが、国道9号へ出るまでに現代の桝形の様な複雑な道筋を通り、恒常的な渋滞を引き起こしているからなのです。

 
 
 
 
 
 
 
丹波佐伯の酒蔵          
清酒 「翁鶴」 大石酒造 京都府亀岡市ヒ田野町字佐伯垣内亦13 0771-22-0632