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  倉沢
くらさわ
 東海道の難所・った峠を控えた間の宿
 静岡県静岡市清水区由比東倉沢・由比寺尾 【旧・庵原郡由比町】2008年合併
商家・旅籠建築・町家・土蔵  困難  JR東海道線・由比駅
 
 
安藤広重(歌川広重)の描いた、薩った峠から望む駿河湾越しの富士山の浮世絵で知られる薩った峠は東海道有数の難所として知られました。

また東海道16番目の宿場町である由比宿は同街道でも上位の小さな宿場町でした。その由比宿と薩った峠の間は距離があり、そこへ至る道筋も断崖が海に迫る険しさの為に、間の宿である寺尾や倉沢が置かれていました。寺尾村は初めは海岸寄近くにありましたが、元禄12年(1699)の大津波によって壊滅し、現在の場所へ移転したといいます。

この地域の町並みとしては東海道旧道沿い、寺尾地区の「小池邸」から始まります。倉沢の手前までは伝統的な厨子二階の平入り商家建築がいくつか見られます。東倉沢を経て西倉沢に入ると、断崖の僅かな土地に、旅籠建築が道の両脇にひしめいていました。建物から察するに明治期以降のものと思われますが、国道1号線が整備されるまでは、宿場町制度が終わった後も、峠越えの要衝として賑わったものと思います。

東倉沢集落の西端には現在「望嶽亭」と呼ばれる茶店「藤屋」が公開されていいます。幕末官軍に追われた山岡鉄舟が座敷の地下から舟で清水に逃れ、西郷隆盛と会談して江戸城無血開城の道を開いた、というエピソードが伝えらる有名な茶店が今も現役で残されている事に由比正雪の実家である由比宿の紺屋とともに驚かされました。
なお、寺尾・倉沢集落の旧街道は狭く、途中行き違いのできる場所もありません。そして終わりは東海道本線の踏切を挟んで国道1号線に出るため、引き返す事も困難ですので、車で訪れる際は気を付ける事が必要です。

 
 
 
 


由比の酒蔵          
清酒 「正雪」 神沢川酒造場 静岡県庵原郡由比町由比181   0543-75-2033 
清酒 「英君」 英君酒造 静岡県庵原郡由比町入山2152 0543-75-2181