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吾野
あがの
 秩父往還の宿場町
 埼玉県飯能市吾野坂石町分
商家・町家・土蔵  なし  西武池袋線・吾野駅
 
 

東京池袋から西武池袋線に乗り、関東の奥座敷として巡礼や登山・観光で賑わう秩父を目指します。特急レッドアロー号や一部快速を除いて、ほとんどは飯能が終点。飯能は木材の集散で栄えた在郷町・宿場町。飯能から秩父へは、スイッチバックとなって列車は進行方向を変えます。

この飯能駅が西武池袋線の運行分岐点ですが、路線の分岐点は実はもっと先の秩父よりにあります。入間郡と秩父郡の境界である「正丸峠」を目前に、ちょうど飯能と秩父の中間にある「吾野駅」が実は路線分岐点。ここから西が西武秩父線で東が池袋線なのですが、その事実を知る人はほとんどいません。実は戦前までの西武池袋線の終点はこの吾野駅。昭和44年から秩父観光の為に路線を延伸したのです。

西武池袋線・秩父線と併走する国道299号線はかつて「秩父往還」と呼ばれた中世より続く歴史の古い道。周囲を山岳に囲まれ、深い渓谷部を流れる高麗川に沿って、道も鉄道も走っています。平地は少なく、わずかな河岸段丘上に集落が点在しているか、または山腹に「天空の集落」を形成しています。そんな秩父往還沿いでもっとも開けた町がこの吾野です。

列車の車窓から、近世の宿場町の面影をにおわせる家並みが見られたので、下りて歩いてみました。しばらく歩くと「秩父街道・吾野宿」の看板。これで吾野は宿場町であった事が確認されました。集落に入ると、街道に面して平入りの間口が並ぶ宿場町の面影そのもの。
早い時期にレトロな外観へと変えた和洋折衷な建物や、かつての庄屋さんでしょうか?重厚な長屋門を構えた屋敷も見られました。

吾野という地名は古来この一帯が上我野郷と呼ばれていた事に由来します。また大字としての吾野は西武線の秩父寄り、西吾野駅周辺を指していて、この吾野宿がある場所は「坂石町分」といいます。成立は元禄13年ごろで、坂石村の中から秩父往還沿いに発達した馬継ぎの宿場町が町場分として分村しました。往還の両側には約3町の家並みが続き、高札場は町の東側に1箇所。毎年7月9日の盆と12月24日の暮れに市が立ったそうです。